「薔薇(バラ)」モチーフの意味・歴史・由来【ハンドメイド制作で役立つモチーフ・シンボルの意味】
華やかで誰もを魅了する美しい花、バラ。バラは古来より愛と美のシンボルとして人々に愛されており、ヨーロッパの神話にも登場しています。
また、花の色によって意味合いが異なる点でも特徴的な花です。
ここでは、バラモチーフの意味や由来について解説します。
バラのシンボルとしての意味
花の持つ意味
・愛
・美
・栄光
・成功
葉っぱが持つ意味
・喜びを与える力
トゲが持つ意味
・魔除け
バラのシンボルとしての由来
ギリシャの物語に登場するバラ
バラのモチーフは古くから使われており、紀元前2000年ごろに現在のギリシャのクレタ島にあるクノッソス宮殿のフレスコ画が世界で初めて描かれたバラの花だと言われています。
バラの花は多くの神話に登場しており、人々が信仰していた神々との関わりが強い花でした。
紀元前800年ごろの吟遊詩人ホロメスの代表的な叙事詩には「イリアス」と「オデュッセイア」があります。「イリアス」はトロイア戦争の話で「オデュッセイア」はトロイア戦争後にオデュッセウスが戦争の帰途でのさまざまな冒険を描いています。
このうち、「イリアス」にバラに関するエピソードが描かれています。
トロイア戦争はトロイアとギリシャの戦争ですが、トロイアの将ヘクトルはギリシャのアキレウスによって殺されますが、ヘクトルの遺体にアフロディーテがバラの香油を塗ったために遺体が野犬に咬まれることはなかったということが記述されています。
このことから既にこの時代にはバラの香油が存在していたことを知ることができます。
ギリシャ神話のアフロディーテ
ホロメスの叙事詩によればアフロディーテはゼウスと大洋の神の娘ディオネの間に海の泡から生まれます(別説もあり)。
アフロディーテが海の神から生まれたことに対抗して陸の神が創り出したのがバラで神々はバラの花にネクタルという神酒を注いでバラの完璧な美しさを称賛したと伝えられています。
赤いバラはアフロディーテの血によって生まれた
アフロディーテは恋多き女神ということでも有名で、その1つが赤いバラを生み出したと言われています。
アフロディーテはシリアの王子アドニスを愛していましたが、アドニスが狩りの途中にアフロディーテのもう1人の愛人軍神アレスの放った野生のイノシシに突かれて命を落としてしまいます。
アドニスの悲鳴を聞いたアフロディーテは茨や岩があるのにも関わらずはだしでアドニスに向かって走ります。
その時にアフロディーテが白いバラを踏み、バラは赤く染まって赤いバラになったと言われています。
バラになったローダンテ
ギリシャ神話にはアフロディーテのほかにローダンテというバラにまつわる伝説を持つ女性がいます。
ローダンテは3人の若者に求婚されますが1人に決めることができず、アポロンとアルテミスの神殿に隠れます。
追ってきた3人の若者が神殿に入ろうとするとローダンテが現れ、「ここは神殿です。汚してはいけません。」と制します。
その毅然とした態度に若者たちはローダンテこそ女神だと言ってアルテミスの像を降ろして神の台座にローダンテを上げようとします。
それを見たアポロンはローダンテが自分でアルテミスの像を下げて台座に上がろうとしているのだと勘違いし、光の矢でローダンテの身体を射抜きました。
するとたちまちローダンテの姿はバラの花になってしまいました。
3人の若者たちはそれぞれ毛虫、ミツバチ、蝶へと姿を変えたと言われています。
そのため、今でもバラの花には虫たちが集まってくるのです。
バラのトゲはローダンテの誇り高い精神の名残となって現れたものだと言われています。
聖母マリア
キリスト教の普及とともに、バラはマリア崇拝と結び付けられるようになりました。
バラは聖母マリアのシンボルの1つであり、聖母マリアは「薔薇の聖母」とも呼ばれています。
聖母マリアの象徴にはバラのほかにリンゴ、ユリがあり、どちらも花弁が聖母マリアの数字の5と同じ5枚から成っています。
リンゴは処女性・母性・結実・再生の象徴、バラは満開の母親の性、ユリは処女女神を表します。
マリアは「最も聖なるバラの園の女王」などと呼ばれ、教会のステンドグラスにはバラが描かれることがあります。
ロザリオは「薔薇の園」という言葉を由来にするという説
ロザリオの名前はラテン語の「rosarium」に由来し、rosariumの意味は「薔薇の冠」です。
一説によるとロザリオの珠を繰りながら祈りを唱えるしぐさがバラの花輪を編む形に似ているからと言われています。
ハンドメイドモチーフ・シンボル百科