生地の種類｜布地・服地に使われる織物生地・素材の特徴
2023/09/10
生地屋さんに行ったときに、同じコットンの無地の布でもさまざまな種類があり、生地選びで迷ったことがある方は少なくないでしょう。
同じ素材でも、折り方や製法により、生地はさまざまな質感に変化し、用途も変わります。
このページでは、織物生地の種類をご紹介します。
ブロード
ブロードはブロードクロスとも呼ばれ、目の詰まった平織り生地のことです。
扱いやすく人気があり、ワンピースやシャツ、ブラウスなど広く使われています。
ブロードはよこ糸の密度がたて糸の2倍あるため、生地面に横畝（よこうね）があるのが特徴です。
しかし、目が詰まったブロード生地は肉眼では畝は見えにくく、美しい光沢があります。
現在ではコットンを使用した綿ブロードが一般的で、主に50番手前後が多く、80番手以上の細い糸で織られたブロード生地は、綿素材でありながらシルクのような滑らかさと光沢があります。
ポプリン
ポプリンはブロードのイギリスでの名称です。
日本国内では糸の太さによって種別されており、番手が40番手以上の細いものをブロード、糸が20～30番手の太いものをポプリンと呼んでいます。
シーチング
シーチングは太番手で織られた平織の織物で、もともとはシーツが語源の敷布用に造られた薄地の生地です。
「ブロード」や「ローン」に比べて織の密度が粗く、ざっくりとした風合いがあり通気性に優れています。
一般的には綿100%でできていますが、リネン製のものもあります。
生成りのシーチングは衣服の仮縫い生地としても用いられます。
オックス
オックスは2本の糸を引き揃えて織った平織りで、斜子織り（ななこおり）の織物です。
糸は撚らずに束ねているだけなので、通常の平織りに比べて通気性に優れています。
オックス生地の由来はオックスフォードの学生向けに作られた記事が発祥と言われています。
ブロードに比べてさりげない凹凸感と通気性があり、オックスフォードシャツに代表されるボタンダウンシャツなどによく使用されます。
キャンバス（帆布）
キャンバス生地は、一般的に亜麻糸や綿糸などで平織にした厚手の生地で、帆布（はんぷ）とも呼びます。
その丈夫さからトートバッグやスニーカー、エプロンなどに広く活用されています。
キャンバスは糸の撚り合わせ本数や折り込んだ密度により、厚さと硬さが変わります。
1～11号まであり、1号が最も生地が厚く、硬い生地です。
国産の帆布では岡山県倉敷市児島地区で生産されている「倉敷帆布」が特に有名です。
ツイル
ツイルとは綾織り織物の総称です。
折り目が畝（うね）のように見えることが特徴です。
コットン生地の場合は「コットンツイル」、リネン生地は「リネンツイル」と呼ばれます。
ツイードもツイル生地の一種です。
一般的には日本の手芸店で「ツイル生地」と呼ぶのはやや厚みのある綿素材の生地です。
また、「ポリエステルツイル」は光沢がありしわになりにくいため、衣装生地としてよく使われます。
コットンリネン（綿麻）
コットンリネン（綿麻）生地とは、その名の通り、コットン（綿）とリネン（麻）を混合して織り上げた生地のことです。
耐久性、吸湿性、吸水性に優れ、リネンと違い洗濯できる生地が多いのが特徴です。
コットンとリネンの割合により、風合いが変わります。
リネン50%以上
軽やかさと程よいシャリっと感があります。
風通しが良く乾きやすく、丈夫です。
コットン50%以上
ふんわりとしつつもしっかりとした生地が特徴です。
比較的シワも気になりにくく、型崩れしにくいです。
ビエラ
ビエラとは、綿と毛の梳毛糸を薄手に綾織りし、軽く起毛した生地です。
綿と毛の比率は綿45%、毛55%とほぼ半々で、フランネルにも近い素材です。
毛の温かみと綿の肌馴染みのバランスが良く、ふんわりとした柔らかい風合いです。
温かみのある薄手素材のため、春先や秋口用のワンピース、ブラウス、ルームウェアなどに良く採用されています。
本来のビエラは綿と毛がほぼ半々ですが、実際には綿100%の「コットン・ビエラ」が多く出回っています。
ガーゼ
ガーゼとは、目の粗い平織の生地のことを指します。
一般的には綿（コットン）を使用して、甘く撚った糸を粗めに平織りにした後、晒して不純物を取り除き、漂白して作られます。
ガーゼは明治時代にドイツから医療用具として日本に伝わり、1800年代の終わり頃から国内でも製造工場が作られ、普及していきました。
最も薄いシングルガーゼから、ダブルガーゼ、トリプルガーゼといった厚みのあるものまであります。
ローン
ローンとは、細番手の糸でやや粗めに織った薄い綿平織です。
透け感があり、柔らかく薄い生地です。
ややシースルーなので、レディースのブラウスやハンカチ、ストールなどでよく使用されています。
